イレブンミリオンプロジェクト欧州視察2008報告書
34/73

Ⅲ-2.ウェストハム・ユナイテッドFC Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) (2)雑感 地元と連動した告知展開などを行っている様子はあまり見受けられなかった。 5.選手を使ったイベントや 試合当日のイベントについて 選手は、病院訪問、コーチングスクール、シーズン終了とクリスマスの両パーティーへの出席などの地域イベントに参加している。また夏の間、ファンが競技場内に入って練習とプレーを見ることができるトレーニング・ディを時々設けている。 試合当日のイベントに関しては全くというほど行われていなかった。チームのマスコットらしき着ぐるみが、意味もなくピッチ外をウロウロしている程度。試合日は試合を見せることが一番のイベントといったところだろう。 6.地域との連携 ウエストハムではプレミアリーグの推奨する、下記の4項目を地域との連携の目的に挙げている。(※P43 (5)「4つのテーマ」参照) ①社会的な一体感 (Social Inclusion) ②健康活動(Health & Well-being) ③平等(Equalities) ④生涯学習 (Education & Life long learning) 特に印象的だったことは③平等である。ロンドン東部は労働者階級の住民が多く、また移民が多い地域である。そのことから労働階級と上流階級との格差をなくすことや、人種間の差別をなくすための活動に力を入れている。具体的には黒人やアジア・東ヨーロッパ人へのサッカーのコーチ活動や、障害者・貧しい人へのサポートを行っている。日本にいると人種差別ということを考える機会・日常があまり無いので、この内容は聞いていてとても新鮮であった。昨今のプレミアリーグ、特に上位のチームはイギリス人よりも他国からのプレイヤーが多く在籍していることについて、「わが町のチーム」としての感情が薄れるのではないかと懸念していたが、イングランドでは純粋にサッカーが楽しめてチームが強くなれば人種の違いは関係ないのだろう。そういう意識をクラブが地域活動を通じてサポーターに植え付けているのではないか。社会貢献という点においても一サッカークラブが持つ影響力の大きさを実感した。④生涯学習では政府・行政と連携して、サッカーに限らずその他の競技や学業もサポートしている。スタジアムにある施設(パソコン教室など)を無料で開放しており、低年齢層の住民の足をスタジアムへと運ばせることにも一役買っている。 パソコン施設 このことは、スタジアムを所有しているクラブならではのことで、クラブオフィシャルショップや宿泊施設まで兼備していれば、試合日以外でもスタジアムを訪れる人がいるのは当然である。スタジアムを所有していないJクラブがほとんどなので、この点はただただうらやましく思うばかりである。 33

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る