イレブンミリオンプロジェクト欧州視察2008報告書
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Ⅲ-2.ウェストハム・ユナイテッドFC Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) (2)シーズンシートの特徴 対象試合は、リーグ戦の全19試合。カップ戦についてはシーズンシートには含まれないが、割引購入ができるという特典がある。また、全てのアウェイゲームも「ファンクラブ」より優先的に購入できることになっている。 チケットの形態はICチップが内蔵された、カード型の電子チケットである。4シーズン前から採用している。また一般の紙チケットもICチップが内蔵されたチケットを採用している。これらは入場時にゲートに設置された読み取り機にかざすとセンサーが反応し、入場ができる。ビッグゲーム等では、大人が子供のチケットで入場しようとするケースが見られるが、ゲートのランプの色によって認識できるようになっている。ちなみに不正を働いた場合、ペナルティとして30ポンド(6,600円)程度の罰金が科せられるそうだ。 入場ゲート (3)ICチップのデータを使ったCRM 現状では、昨シーズンはメンバーが何名だったか、何名が更新したかを見る程度で顧客分析までは至っていないとのこと。しかし、一定の試合を購入された方への質問や、日程変更などの不測の事態のために顧客データとしていつでも活用できる状態にしている。 (4)今後の計画 60,000人収容のスタジアムの話が現実のものとなった場合、シーズンシートは最大50,000席まで増やす計画がある。 (5)雑感 全席指定とはいえ、日本との所得水準やJリーグ各チームの価格体系と比較しても、決して安い金額ではない。生活の中に占めるサッカーに対する重要度が日本とは比較にならないくらい大きいものだといえる。 3シーズン前は2部リーグの2年目だったためシーズンシートが18,000人まで落ち込んだそうだ。シーズンシートをICカードにしたが、これがシーズンシートの売上拡大の要因になったかの因果関係は不明。一番の大きな要因は、プレミアリーグに返り咲いたことと、FAカップの決勝に進出したことと説明があった。つまり、程度の差こそあれ、チームの成績に左右されるという点では、日本の状況とあまり差はないように感じた。要は、どういう状況であろうとチームを応援するというコアなお客様を、いかに増やせるかである。 ICチップ内蔵チケット 読み取りセンサー 31

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