Ⅲ-1.アーセナル Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) せ、自前の選手を育てれば、それはクラブの財産となるのは明白である。 “アカデミー”のコンセプトは、1996年、FA(サッカー協会)の主導で立ち上がった。その変革により、各クラブは8歳から選手を獲得することができるようになり、アカデミーの称号を得るため下部組織をハード面、ソフト面とも充実させるようになった。アカデミーとして認定されるためには、例えば天然芝のピッチが4面、人工芝のピッチが1面、インドアの施設を持つという施設面の条件や、フルタイムのスタッフの数、医療、スカウト、教育面など、条件をクリアしなければならない。カテゴリーは、U-9からU-16まで1歳区切りであり、その上にアカデミーリーグ(U-18)やリザーブリーグ(2軍)が存在する。 リザーブリーグは、プレミアリーグに所属するクラブのみで行われているが、移動距離の問題があるので北と南にエリアを分け、リーグ戦を開催している。リザーブリーグの目的は試合に勝つことではなく、選手育成である。アーセナルでは18歳~19歳の数多くの選手で構成されており、アーセナルの若手選手を他クラブに売るひとつの見本市となっている。 また、アカデミーリーグは、イングランド全土のアカデミーを持っているクラブのリーグであり、選手の平均年齢は16歳~17歳である。4つの地域に分けリーグ戦を行っている。 アーセナルでは、アカデミーのコーチは、過去アーセナルの選手だった人物を採用するようにしている。元選手であれば、クラブのスタンダードが血肉となっており、クラブに対する愛着や情熱があるからである。 アカデミーでは、有望な若手選手が入ってこないと意味がないので、スカウトは非常に重要である。アーセナルアカデミーでは、フルタイムのスカウトが2名、ロンドン近郊ベースでパートタイムのスカウトを25名採用しているが、ロンドン近郊にはチェルシーほか競合クラブが多数存在するので、決して少なくない人数であるとのこと。 やはりクラブの財産は“選手”であり、未来永劫クラブが存続・発展していくために、“選手を育てる”ことが非常に重要であることが理解できる。そのためにもアカデミーの維持・発展させるための絶え間ない努力が必要不可欠である。 4.チケッティング、メンバーシップ、 入場管理について ◆スタジアムのキャパは、60,361席。 *上層レベル: 26,605席 *クラブレベル: 7,065席 *下層レベル: 24,249席 *エグゼクティブBOX席:2,054席(150BOX) スポンサーやゲストのためのプレミアムシート(ダイヤモンドクラブ、ディレクターズBOX、エグゼクティブBOX、クラブレベル)が9,400席あり、そのうち5,500人が同時に着席してゆったりと食事ができる。 一般座席が51,000席であり、37箇所で飲食販売をしている。なお、1試合総計で25,000回の飲食販売があり、そのうち12,000~15,000回はハーフタイムの15分間に集中するが、対応できている。 車イス席は200席以上(介助アシスタントあり)、アッパーティアー(スタンド上層部)にも車イススペースあり。 26
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