Ⅱ-3.アスレティック・ビルバオ Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) らが使用している3-4-3システムの育成年代への導入や練習理論など、たくさんのことを参考にさせてもらっている。 しかし、もう分かっていると思うが、そのやり方が良いからと言って、そのままコピーするのは間違っている。良い所を取り入れつつ、自分たちに合った方法を探さないといけないのだ。よってアヤックスのやり方を参考にはしているが、そのやり方をそのまま真似ているわけではない。自ら発展していくために、我々はあらゆるサッカーに関わる要素を日々研究し、活かせるように調査機関を設けているんだ」 ・最後に、もしアスレティック・ビルバオのクラブ理論を日本のクラブに持ち込むとしたら、どんなことに注意しなければいけませんか?アドバイスをお願いします。 「私は、日本の事情に詳しくないので、参考として聞いて欲しいのだが、まず、時間が必要だ。 いきなり監督が来て『これから選手は全員この地域出身にする』とやってしまったら、間違いなく反発は出るし、上手くいかないだろう。 時間をかけてちょっとずつそういう方向に持っていく。例えば、最初は日本人のみで戦うというように。それからクラブだけではなく取り巻く全ての人々を巻き込むことが重要だ。例えばファン、行政、メディアなどだ。この理論は決して一クラブの力だけでは成しえないものなんだ。 よって、『うちのチームは地元出身で構成されたクラブを目指します』という理論に対する多くの人々の協力と理解が求められる。地域の人も、行政も、ファンも全ての人が納得する目標と計画が必要となる。なぜなら、理論だけは素晴らしく理想的でも、同時に結果が伴わなければ誰も納得しないだろう。その理想と結果(成果)のバランスが非常に難しい」 日本に地元出身者のみで構成されたプロクラブができたら、これほど個性的なクラブは無いだろう。特別地元出身者にこだわる必要は無いと思うが、私が興味を持ったのは、アスレティック・ビルバオがある一定数の選手を必ず輩出していること。 ご存知の通り日本には外国人選手の制限があり、ヨーロッパのようにチームに自国の選手は一人もいないということは起こらない。 チームを主に構成するのは日本人選手なのだ。その日本人選手の底辺拡大、強化にアスレティック・ビルバオのクラブ理論を参考にすることはできないだろうかと考えている。 ― 中略 ― (6)最後に 今回紹介したものは、アスレティック・ビルバオの長い歴史の一部にすぎないと思うし、アスレティック・ビルバオの育成システム、理論が絶対的存在であるとは思わない。 しかし、私は限られた地域、わずか210万人の人口から多くのプロ選手を発掘、育成し、クラブとして成功を収めているクラブのモデルを紹介することは、日本の育成レベル向上の役に立つのではないかと考えている。今後も、引き続きビルバオにて勉強を重ねて行きたいと思う。 23
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