イレブンミリオンプロジェクト欧州視察2008報告書
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Ⅱ-3.アスレティック・ビルバオ Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) 固定しない。本当にアスレティック・ビルバオというクラブに誇りを持っているのだ。それは、選手、指導者に徹底的に叩き込まれる。 グラウンド内はもちろん、グラウンド外での行動においても、常に「我々はアスレティック・ビルバオなのである。その看板に泥を塗るようなことはしてはいけない」と考えられ、移動中の服装、勉強(特別授業、家庭教師を付けるなど)などオフザピッチの重要性も説いている。 (4)「良い選手を育てる」 「地元出身者をトップチームへ」 この大きな目標に向かって努力をしている結果、昨シーズン(2006-2007年)トップチームの下部組織出身者の割合はなんと82%という驚異的な数字を出した。 ちなみに、バルセロナは40%、昨シーズン大躍進を遂げたオサスナは48%、ビジャレアルはなんと5%であった。 もちろん良い選手が出てきたかどうかという質の部分は別にしても、これだけ多くの選手が下部組織から育ってきているのだ。他のチームは、残りのパーセンテージが外国人によって埋められていると言っても過言では無い。 (5)チェマ・ノリエガ育成・強化部長の話 チェマ・ノリエガ育成・強化部長は元アスレティック・ビルバオの選手で、82-83、83-84年シーズン、アスレティック・ビルバオがリーグ2連覇した時のメンバーである。同氏にこれまで疑問に思っていたことを聞いてみた。 ・なぜバスク人だけなのか? 「公式な文献には残っていないが、チーム発足後、会員たちの投票により、バスク人のみで戦うと80%以上の人が賛成したからなんだ。 ちなみに、選手は親がバスク人である(片方だけでもOK)、両親共にバスク人ではないが、小さい頃からバスク地方に住み、その地域でサッカーをして育った選手もアスレティック・ビルバオの選手になれるのだ。要は、他のクラブのように良い選手がいるからと言って、他の地域、他国からスカウトして取ってくることが無いということだ。」 ・純血主義を貫くのに苦労していること、 特に力を入れていることはありますか? 「自己改善とクラブ哲学の注入である。極端な話、我々は選手に対して100%ではなく、200%の努力を求めないといけない。そうしなければ、クラブとして成り立たなくなるからだ。しかし、正直言って何か秘密があるかと言ったら、それは無い(笑)。要は日々努力し、それを続けてきた結果、我々はここまで来たのだ。」 ・毎年ユース選手が何人ぐらいバスコニア(サテライトBチーム)に昇格しますか? 「大体10人前後が上がる。そして、Bilbao Athleticは大体2年ごとに半分ぐらい選手が入れ替わる」。つまり、Bilbao Athleticの選手は他のチームへ移籍したり、トップチーム上がったりし、2年ごとに大体はチームの半分の選手が入れ替わるようだ。 「今シーズン、トップチームに在籍する選手の下部組織出身が占める割合は80%だ。当然、良い選手か?毎回試合に出ているのか?という問題は別の問題だが、これだけ多くの選手がトップチームに在籍しているのは我々の誇りである。もちろんそのように日々努力しているわけだが・・・」 ・アスレティック・ビルバオの育成システムはアヤックスのものを参考にしていると聞いたことがあるのですが、それは本当ですか? 「そうだ。昔、多くのスタッフがオランダへ出かけ、アヤックスの育成システムを研究した。例えば、彼22

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