Ⅱ-3.アスレティック・ビルバオ Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) メージのエンブレムやフラッグに触れないが、試合当日は、街のバルや商店などにクラブフラッグが掲げられる。 8.育成 外国籍選手を獲得しないため、移籍金の支出がない。そのお金を育成で、下部組織のみならず地域の育成に投資できるということを聞いた。まるで地域全体が下部組織である。今回は、我々視察団は時間の関係で育成施設を訪れることができなかった。 しかし、私たちビルバオレポート班は、クラブを訪問する前日に、ビルバオ在住のある日本人の青年に会うことができた。私たちは、育成のトレーニング帰りというその青年とビルバオのバルに行き、ビルバオについての多くの生きた情報を聞くことができた。 育成に関しては、クラブからの充分な回答を貰う時間がなかったため、彼のレポートからの出典を抜粋して紹介することにする。 以下、倉本和昌氏(ビルバオ在住)レポートより抜粋 (1)地域密着型クラブ 私は、現在アスレティック・ビルバオに関わることに加えて、地元の少年チームの監督もさせてもらっているのだが、そこで本当に「地域に密着しているクラブ」という意味を感じさせられることがあった。 ある時、子ども達に「どこのチームが好きか?」と聞いたところほとんどの子どもが「アスレティ!(アスレティック・ビルバオの通称)」と答えたのだ。ここまでは普通の答えである。 そして、「でも、正直バルセロナやレアル・マドリードみたいにそんなに強くないし、どうしてアスレティック・ビルバオが好きなの?」と聞くと、「うーん。何でって言われても・・・だって僕はビルバオで生まれたからね。その町のチームが好きっていうのは普通でしょ」と皆そう答えるのだ。 これは、少なからず私にとっては衝撃だった。そのチームが好きな理由が、その土地で生まれ、その土地で育ったからだというのだ。それも一人や二人ではないほとんどのビルバオの人がそう思っている。これこそ真の地域密着型クラブだと思った。ここまでアスレティック・ビルバオは地域に、人々に浸透しているのだと。 ソシオ、ぺーニャはマッチデーは店先にフラッグを掲げる ※写真はスタジアムのそばのバル (2)クラブの構成と下部組織の特徴 アスレティック・ビルバオの下部組織は10のカテゴリー分けされ、以下のように分かれている。 ・ビルバオ・アスレチック(スペインリーグ3部、 サテライトにあたる) ・バスコニア(スペインリーグ4部、サテライトB) ・Juvenil (フベニール)カテゴリー:Aチーム、 Bチーム(16~17歳) ・Cadete(カデテ)カテゴリー:Aチーム、Bチーム (14~15歳) ・Infantil (インファンティル)カテゴリー:A チー ム、 Bチーム(12~13歳) ・Alevin (アレビン)カテゴリー:A チーム、 B チーム(10~11歳) バスコニアは正式にはアスレティック・ビルバオの育成組織ではないが、実質サテライトBチームとして機能しているため、記入した。 それ以外に女子チームがA,Bと2チームあり、 Aチームは、スペイン1部リーグで毎年優勝争い20
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