Ⅱ-2.CAオサスナ Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) 14 (2)マーケティング担当者とのミーティング ①ソシオ会員について 「債務超過があったクラブは、リーグ事務局の指導で強制的にスポーツクラブから株式会社へ移行させられたが、オサスナは負債のない4クラブ(他はレアル・マドリード、バルセロナ、ビルバオ)のうちの一つ。 オサスナのスポンサーにとって最大のメリットは、誰のものでもないクラブであること、スキャンダルのない、負債のない、好感度(クリーンなイメージ)である。 ソシオ会員数:15,016人、ペーニャ(サポーターズクラブ):90。「チーム成績の上昇とともに会員数は増えてきたが、成績が悪くなれば減っていくだろう」。「現在は人数、構成比率(女性は増えてきたが95%が男性。60%が16~55歳)ともパーフェクト」 通常のゲームは会員証で入場可能だが、バルサとRマドリー戦は別料金「オサスナを助ける日」となる。ソシオ会員90%は継続手続の際にその別料金を支払う(一般販売は4,000枚しかない)。 ソシオ会員への申し込みは電話一本で10日後に会員証が届くシステムとなっている。ソシオ会員募集のポスターのキャッチコピーは、2006-2007シーズンはUEFAチャンピオンリーグに出場したこともあり、「(こんな小さな町が)みんなで力を合わせてヨーロッパを制覇しよう!」、2007-2008シーズンは「みんなと一緒ならゴールを入れられることはない」というもの。ソシオ会員がいかにクラブに対して大切かを意識づけていた。 ②マーケティングの5本柱 ◆スポンサー:5年前150万ユーロ(2億4,000万円)、現在600万ユーロ(9億6,000万円) ◆スタジアムの広告看板 (「全て売りつくした」=二大広告代理店を通し ていかに大きな収入を得るかが重要。) ◆マーチャンダイズ(70~80%がアパレル。) 自クラブの規模を考えた戦略。 ◆会員との交流(会員の継続を最優先に考えて いる。) ◆イメージ戦略(肖像権を大事にする概念がなく、 エンブレムも色々あったが、見直して統一。) ③マーケティングのポリシー(バルセロナや レアル・マドリードとは違うマーケティング手法) (a)自分たちのリミットを正確につかむ。 「自分たちが一番大切に考えているのは、自分たちのサイズを知ること」 「自分たちの可能性の範囲内で、最大の効果をあげる」 ◆ナイキやアディダスとは交渉しない(相手にしてもらえない) ◆毎年ユニフォームを替えない(2年に1回の デザイン変更) ◆Webでのバナー広告収入は当てにしない (自分たちに商品価値が無いことを知っている) ◆小額のお金で自分たちのイメージを壊すよう なセールスを絶対にしない ◆レプリカを日本で販売することは全く考えてい ない ◆特定選手を表に出すという販売方法を取らな い(ファンは選手と簡単に接触できるしビッグ スターもいない) ◆ショップは市内とスタジアムの2箇所のみ (スポーツ店やWebでも販売している) ◆相手先のメリットを最優先に考えたパッケージソシオ会員募集ポスター 07/08 06/07
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