Jリーグ欧州スタジアム視察2017
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Ⅵ-1.ボルドー Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 88 これまでにリーグ・アン優勝回数6回を誇り、近年20年では常にリーグ上位の常連に位置した国内屈指の古豪クラブである。 2015年5月に行われた新しいスタジアムのこけら落としでは、ジダンの始球式により新たな歴史の幕が切って落とされた。 (5)クラブ運営について クラブはM6(エムシス)というフランスのテレビ局のほぼ100%の資本を受けている。M6の社長は大のサッカー好きで知られているらしいが、クラブの運営や方針にM6が関わることはほとんどないとのこと。 ※M6はフランス資本のメトロポールテレビジョン社とドイツ・ベルテルスマンの合弁会社 2.シャトー・ベレール・ルアイヤン(練習施設) (1)のどかなブドウ畑を練習場として整備 街の中心部から西へ車で20分ほどの場所に、クラブの練習場を含めた拠点がある。のどかなブドウ畑だった11haもの広大な土地を1980年に市から借り受け、クラブが練習場として整備し、使用料を市に支払いながら使用している。 練習場の中には、16世紀の歴史的建築物を利用したクラブオフィスやトッププロが使用するクラブハウス、「Centre de formation」と呼ばれる各年代の育成組織のためのサッカー施設に加え、メディカル施設、クラブのテレビ局・ラジオ局専門施設、そして7面の天然芝ピッチ+2面の人工芝ピッチの計9面のピッチを有する。 (2)クラブ関係者が一堂に会することが 重要 この練習場にクラブのほとんどの関係者が拠点を置いており、そのことがクラブとしての一体感をつくり出す上で非常に重要であることを、テクニカルダイレクターのユルリク・ラメ氏は強調する。 選手を除いたスタッフは約160人が働いている。選手はトップ選手の他、90人がCentre de formation(育成システム)に所属しており、そのうち50人が施設内の寮で暮らしている。 (3)充実した育成システムと施設 Centre de formationに所属する育成選手は 15歳から所属することができ、60%の子どもが近辺地域出身、残りの40%は遠方地域出身の子どもたちである。近隣の子どもたちは自宅から通うため、クラブがバスで送迎を行っている。 育成選手の日常は、朝8:30~11:00は練習、レストランで食事した後、午後は戦術的なミーティングを実施する。そして週末に試合をこなすことを繰り返す。 各年代1~2人しかトップチームに上がれないという厳しい環境において、サッカー以外の教養をしっかりと身に付けさせることにクラブは重点を置いている。周辺の総合学校や専門学校との連携や、家庭教師の派遣など、育成選手の学問のサポートをしっかりと行っている。 フランスは国が実施する大学に進学するためのテ クラブオフィスは16世紀の建物を使用 開放的で明るい育成施設内部

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