Jリーグ欧州スタジアム視察2017
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Ⅴ-1.アーネム Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 82 (7)多目的ならではの設備 コンサートの開催を可能にするため、ドームの形状を生かした音響設備が充実しており、屋根や壁面にも吸音材が張られている。選手ロッカーについても、選手ごとの仕切りや背番号の掲示などが一切なく、ホールの楽屋に近い仕様となっており、サッカー以外のイベントでも使用可能な計画となっている。また、ミックスゾーンやコンコースにおいても、サッカー以外のイベントの広告を多数掲示しているところに、このスタジアムの特徴がうかがえる。 (8)スタジアムビジネス ヘルレドームでは、土地はアーネム市が所有しており、運営会社が借地料を市に払っている。クラブとスタジアム運営会社が別であるため、フィテッセが試合を行うときも、ホームスタジアムでありながら利用料(1試合あたり€10万(1,344万円)、年間€200万(2億6,870万円))が発生する。またスポンサー企業には、年間契約で個室や座席を購入してもらうことで安定経営を実現しており、修繕費は運営会社が負担している。現在はライブネーションの子会社が運営しスタジアム自体の所有権も有している。大手イベントプロモーターとしての特性を最大限に活用し、ライブ・コンサート、各種イベントの誘致に成功しており、日本におけるホームゲーム以外の多目的利用の参考事例となり得る。(スタジアム運営におけるイベントプロモーターや広告会社の関与が稼働率を高める打ち手となるポテンシャルがある) スタジアム運営としては、2週間に1度ホームゲームがあるため、ホームゲームがないときにコンサートなどの大規模イベントを開催している。ただし特別な場合は難しい運営計画を強いられ、日程のコントロールが非常に重要となる。 スタジアム内の支払いはカード決済(キャッシュレスシステム)のみとなっており、現金は使えない。コンコースに専用の券売機を設置している。これは欧州における他のスタジアムでも多く見られ、ハーフタイム時のスピーディーなデリバリー以外にも、顧客の購買データ収集など、顧客ビッグデータ分析につながるものとなっている。 充実した音響設備 楽屋に似た仕様のチーム更衣室 ミックスゾーンやコンコースも多目的仕様

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