Jリーグ欧州スタジアム視察2017
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Ⅴ-1.アーネム Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 78 2. 開閉式屋根と可動式ピッチの両立 (1)スタジアム建設の経緯 1998年3月25日にオープンした「ヘルレドーム」は、当時としては世界初の開閉式屋根と可動式ピッチを併せ持つスタジアムである。この特別な施設はUEFA欧州選手権(EURO)2000開催のためのスタジアムとして1994年から構想がスタートした。 構想当初から、フィテッセのクラブだけでなくアーネムを含むヘルダーラント地域の300万人が訪れることができる多目的施設を造るため、官民(クラブと自治区)が連携してプロジェクトを進めていった。その中で、多目的な利用を実現するために、サッカーだけでなく雨の日でもイベントを開催できるように、そして芝生を傷めることがないようにということで、開閉式屋根&可動式ピッチという新しいシステムを導入するに至っている。建設費は€7,500万(98億4,750万円)で官民の両方が出資した。(※€1= 131.30円) 1998年当時はヘルレドーム社という民間企業が所有・運営していたが、経営難により2003年からアーネム市が所有することになった。その後EuroCommerce社→FGH銀行→SpesBona社(現在)と所有者が変わっている。運営は、ライブネーションの子会社であるMojo Concerts社が行っている。将来的にはフィテッセによる友好的な買収も計画されている。 EURO2000では、トルコvsイタリア、ルーマニアvsポルトガル、スロベニアvsノルウェーの3試合で使用された。当初は30,000人収容であったが、徐々に減席され、現在は21,248席となっている。 (2)大規模イベントの開催 ヘルレドームでは、テニス大会、モンスタージャム、コンサートなど、ピッチレベルを使った大規模イベントを年間15~20回ほど開催している。世界有数なアーティストのコンサートも開催されており、エントランスの床に記念プレートも埋め込まれている。座席数は21,200席だが、コンサート時は約39,000人を収容することが可能である。他にもアイスホッケーやバレーボール、ハンドボールなどのスポーツでも今後利用できるようにするとのことである。 (3)開閉式屋根&可動式ピッチ 屋根は短辺方向のスライド式となっており、開閉に45分の時間を要する。これにより芝の良好な養生環境の確保と多目的利用の両立を実現している。ヘルレドーム北側外観 モンスタージャムの様子 エントランスの床に埋め込まれた記念プレート

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