Ⅳ-6.メンヘングラッドバッハ Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 76 5.サッカーを通じたつながり (1)社会貢献活動 フロアにはスタジアムの模型が3つ置かれている。旧スタジアムと現スタジアム、それと完成度自体は前の2つには劣るが「ぬくもり」を感じる模型・・・。クラブは募金で集めたお金でウクライナの恵まれない村を支援しており、服や薬、食料などを送り社会貢献している。その支援している村の人々が182万本ものマッチ棒でスタジアムの模型をつくり、クラブに贈ったものである。ツアーをアテンドしてくれたスタッフは「この模型がクラブの誇り」と語っており、こうしたつながりをスタジアム内外で持てることにサッカーの魅力と可能性を感じてならない。 6.所感 人口約26万人の都市にあり、スタジアムも郊外に立地しているところから、どこか県立カシマサッカースタジアムに似ている雰囲気がある(鹿島アントラーズはホームタウン5市で約27万人)。駅からも遠く、車での来場も多いとのこと。試合前は50,000人も入るのかと疑っていたが、その日の入場者数は53,000人の大入り。スタジアム全体が作り上げる雰囲気や、隣に居合わせた家族がワンプレーワンプレーに一喜一憂する姿を見ると、サッカーが文化として根付いている様子を肌で感じることができた。 もともと、まちなかにあったスタジアムでは手狭になったことから、現在の場所へ移動したというのも意外であった。「スタジアムが生む経済効果が限界だった」と理由を教えてくれたが、「立地」という好条件を捨てて、収益性の高いスタジアムへと移行したことは、裏を返すとクラブの自信の表れとも受け取れた。その証拠に80,000人のクラブメンバーがおり、その内、30,000人が年間チケットを持っているという。クラブが地域に根差しているからこそ、サポーターもついてくる。そう感じた。 また、スタジアム新設に伴い、隣接地に育成用のグラウンド、クラブハウス、選手寮も建設。育成型のクラブらしい投資方法は、クラブの理念を感じた。視察した際は、スタジアム横にホテル、ファンショップなどが入る6階建てのビルも建設中で、スタジアムとの間には連絡通路が通るとのことであった。建設費は€3,100万(41億6,485万円)。中にはチームドクターの病院、リハビリステーションも入るとのことで、既存スタジアムを複合施設化する際の参考にもなった。 支援しているウクライナの村からの贈り物 奥に見えるのが育成センター
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