Jリーグ欧州スタジアム視察2017
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Ⅳ-6.メンヘングラッドバッハ Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 75 (2)スタジアム運営 スタジアムオーナーとしてヨーロッパの大会で使うときも何回かある。2006年FIFAワールドカップの会場には選ばれなかったが、2011年のFIFA女子ワールドカップのメイン会場の一つとして使われた。サマーブレイク期間中は、ブルース・スプリングスティーンやエルトン・ジョンのようなアーティストのコンサートが開催されることがある。 使用頻度としてはサッカーで年間23試合程度である。コンサートなどは、イベントのしやすい屋根付きスタジアムが近隣にあるため、このスタジアムでのコンサート利用はあまり多くはない。 スカイボックス、ビジネスラウンジを使用してのイベントは年間400回ほどを行っている。 年間の維持管理費は光熱費を含めて€280万(3億7,618万円)ほどかかる。 スタジアムの収入はチケット収入、ケータリング、テレビ放映権が主なものであり、テレビ放映権だけでも2016年はUEFAチャンピオンズリーグを含めて€64万(8,598万円)、ブンデスリーガだけでも€40万(5,374万円)ほどである。 建設費用は市および銀行からの借り入れによっているが、市からの借り入れは既に完済しており、銀行への借り入れも10年から20年の間には完済する予定である。 現在は、スタジアムの側にグッズショップもあり、商品数も多く充実している。 4. ボルシア・パルクの将来設計 (1)ノンフットボールビジネスの確立 現在、ボルシア・パルクでは大規模なプロジェクトが進んでいる。スタジアムに隣接するホテルの建設と育成センターの拡張である。 2018年9月完成を目標に4つ星ホテルをスタジアムの隣に建設する。総工費は€3,100万(41億6,485万円)。ホテルの客室は部屋ごとにクラブの歴史を語る内装計画とする予定となっている。今後の展望としてはホテルとスタジアムを橋でつないでホテルの利用者もスタジアムのレストランを利用できるようにするという計画がある。 (2)未来への投資 新スタジアムやUEFAチャンピオンズリーグ出場によりクラブ収入は格段に増えたが、大規模な補強ではなく設備投資や育成への投資に力を入れている。現在スタジアムの横にある育成センターはトップチーム用、育成用と数面のピッチを保有しているが、さらに育成用の寮(15~18歳の24人の選手が使用予定)を建設し、スカウトした子どもたちがサッカーに集中できる環境づくりをしようとプロジェクトが進んでいる。寮には教育担当者も3人おり、しっかりとした社会人になるためのステップを踏めるようになっている。 建設中のホテル クラブが描く将来設計 グッズショップ

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