Ⅳ-6.メンヘングラッドバッハ Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 71 (2)新スタジアムの建設 ボルシア・メンヘングラッドバッハはかつてベーケルベルク・シュタディオンというスタジアム(約34,000人収容)を本拠地に約85年間試合を行ってきた。この旧スタジアムは町の真ん中にあり立地は良いものの民家が多く拡張ができない、またトップチームに1面、育成に1面しかピッチが確保できないなどの問題を抱えていた。また、客席の大半が立ち見席であったため、チケット収入も少なく、スタジアムが生み出す経済効果も限界にきていた。それらの問題を解決すべく2000年にスタジアム建設のプロジェクトが始動する。2002年の3月に建設が許可され、11月までに、総合建設会社が決定し、工事が着手された。 以前は、英国陸軍の施設であったので、若干の準備が必要であったが、建設費€6,810万 (91億9,146万円)をかけ約20カ月で現在のスタジアムを完成させた。(※€1=134.97円) ボルシア・パルクは土地も建物もクラブの持ち物であり、26,400㎡の広さを持ち、新しいスタジアム、ヘネス・バイスバイラー通りに位置する管理ビル、練習場とクラブの駐車場も含まれている。 (3)新スタジアムにおける設備面 新スタジアムの建設によりさまざまなスペックが進化することとなる。キャパシティは約34,000人だったのが約54,000人収容(物理的には約60,000人収容可能だが、セキュリティの面から約54,000人にとどめている)となり、チケット収入だけでも1試合平均€50万(6,718万円)から€150万(2億153万円)へと3倍の増収をとげた。スタジアムの隣には育成センターもあり、スタジアム内にはクラブオフィスも完備しておりボルシア・パルク全てでクラブを一括運営している。 スタジアムの管理ビルは5階建てで総面積18,500㎡を有し、1階は、マッチデーにビジネスエリアとして使われるエントランスホール、ビジネスラウンジ、スポーツバーがある。またクラブオフィスがある。スポーツバーは週7日開いており、ホームゲーム以外の日は誰でも使うことができる。4階はラジオ、テレビのコメンタリーポジション、場内放送室、警察と警備のための監視室、ユースアカデミーの追加部屋、メディカル、スポーツリハビリテーションもここに位置している。 ①エントランスロビー メインスタンド側にはビジネスラウンジ、スカイボックスのエントランスロビーと受付があり、クラブのオフィスのエントランスロビーと受付としても利用している。 建築法規により高さが22m以上となると、避難規定や防災規定が厳しくなるため、ピッチを地面より5m下げた位置とすることで、建物高さを22m以下に抑え、建築設備の軽減を図っている。 その結果としてエントランスロビーから、ビジネスラウンジへは同じ階で直接入ることができ、効率的な来客動線の処理を行えている。 エントランスロビー外観 ビジネスラウンジ、スカイボックスのエントランスロビー
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