Jリーグ欧州スタジアム視察2017
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Ⅳ-6.メンヘングラッドバッハ Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 70 入を生み出すことで陥りがちな「大規模な補強」には手を出さない。そこにはクラブとして一貫した哲学があるからである。それは「育てて売る」ビジネスである。 クラブはかつてドイツ代表としても活躍したギュンター・ネッツァーやローター・マテウス、シュテファン・エッフェンベルクという名選手を輩出し、レアル・マドリードやFCバイエルン・ミュンヘンといったビッグクラブへの移籍をさせ、その移籍金を再び育成に投資するというクラブ運営を行っており、育成環境はドイツトップ3とサッカー連盟より表彰されるレベルである。 ルール工業地帯という地理的な好条件(ボルシア・ドルトムントやシャルケ04など他のクラブとも地理的に近い)に恵まれスカウティングもしやすい環境にあり、若手の発掘に好条件がそろっていることもクラブの運営方針に影響しているといえるだろう。 (3)ファンマーケティング 1試合当たり平均50,000人の集客をほこるマーケティングの中でカテゴリーごとの数値は次のようになる。 【各カテゴリーデータ】 ■Club Members 80,000 ■Season Ticket Holders 30,000 ■Supporters Clubs with more than 1,500 ■Organised Fans worldwide 30,000 ■Dijital Followers 2,000,000 クラブの好感度調査ではブンデスリーガ内ではドルトムントに次いで2位であり、会員数は5位にランクされる。Club Membersはフェラインと呼ばれる財団を組織し、クラブの所有者として欧州では位置づけられる。また年間チケットは30,000枚で売り止めをしており、新規層の集客にも力を入れている。 2. スタジアムと練習場が隣接 (1)ホームタウンとスタジアム周辺環境 本拠地であるメンヘングラッドバッハの人口は約26万人でライン川の約15km西に位置する工業地帯。交通の便はあまりよくない。 スタジアムの立地はメンヘングラッドバッハ西部のホルト地区とラインダーレン地区の間に位置し市の中心から約4km、中心駅から約1kmの場所にある。 スタジアムへの来場は自家用車と公共交通が概ね半分ずつで、公共交通を使う場合は、メンヘングラッドバッハ中央駅からシャトルバスがある。その他の交通手段として、ライト中央駅(メンヘングラッドバッハ中央駅から定時便がある)からシャトルバスがある。 スタジアムの周囲には、プロ用、ユース用、U19用のそれぞれの練習場を有しており、現在建設中のホテルを含む施設の背後にはユース用のスタジアムも立地しており、親善試合においては1,000~2,000人の観客が来場する。 ボルシア・パルクの右上に練習場がある ホームロッカールーム前の通路には育成出身選手のユニフォームが飾られる 単位:人

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