Jリーグ欧州スタジアム視察2017
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Ⅳ-5.デュッセルドルフ Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 58 の存続に関わってくると、フェラインの公共性を損ねてしまう恐れがあるため、運営を切り分け、経済的なリスクを軽減することなどが要因とされている。 トップチームやアカデミーでプレーする選手や監督コーチ陣、またフロントスタッフなどはアクティブ会員、それ以外がパッシブ会員に分類され、その両者がフラットな関係であることが理想とされる。 定期的なフォーラムによって、クラブの方針に対して、個人が一会員として意見を上げることでクラブへの帰属意識を高めていくことになる。 現在、フォルトゥナ・デュッセルドルフは22,000人の会員が存在している。 ※フォルトゥナのフェラインの会員総会には2,000人程度参加する。 このフェラインとは別に、クラブ側に登録をすることで正式に認められたファンクラブが多数存在する。 フォルトゥナ・デュッセルドルフのファンクラブも現在約120団体あり、そのうちの4団体が大きな団体であり、特徴的なのが、その4団体にゴール裏の立見席の販売を委託しており、ファンクラブの自主的関与を促している点ではないだろうか。 ※ドイツでは4人以上でクラブに申請するとファンクラブとして登録でき、クラブのロゴなどを使う権利がある。 (2)クラブの現況について 1895年創立の強豪クラブであり、1979年、1980年の ドイツカップ連覇、1979年のUEFAカップウィナーズカップで準優勝するなどの成果をあげた。1980年代は成績が低迷し2部リーグへの降格を繰り返すようになり、一時は4部リーグにまで落ちた。2012/13シーズンでブンデスリーガ1部復帰をしたものの、1年での2部降格となり、現在に至る。 もともとドイツ国内の主要都市の古豪クラブでもあり、1部であった2012/13シーズンには平均入場者数45,000人を誇った。現在2部にいるが、昨シーズンも平均26,615人の観客を集めている。しかし、2部になり5シーズン目となるが、徐々に平均入場者数が減ってきている。 近隣クラブの1.FCケルンやバイエル・レバークーゼン、ボルシア・メンヘングラッドバッハなどとの対戦はラインダービーと呼ばれ、特に1.FCケルンとは伝統的に強烈なライバル関係にある。 (3)スタジアム運営への関与について スタジアム運営会社(Düsseldorf Congress Sport & Event社)は市が50%、残りをメッセ運営会社(Messe Düsseldorf社)が出資をし、クラブは試合開催日にスタジアムを借りる形態(一店子)である。(別途クラブのフロントオフィスを常時賃借している) クラブは、1999年の3部時代に、10億円の赤字に陥った経験を持つため、身の丈に合った経営がクラブポリシーとなっており、スタジアムも所有ではなく、賃貸とし、ローリスク(ローリターン)を選択している。 スタジアムはもともとワールドカップ用に造られたことからクラブの色を出してはいけなかったことや、サッカー以外に、コンサートやイベントなどを行うことを目的とした開閉式屋根の多目的スタジアムであること、また、オフィスとして一般企業が入居している現状などから、スタジアムの装飾などにクラブ色を出しづらい状況にあったが、スタジアムにとってクラブは最大の顧客でもあることから、契約更新を機にスタジアム運営会社と話し合い、昨年からチーム更衣室や選手通路のクラブカラー化や試合以外の日にスタジアム周辺でののぼり旗の設置などが認められるようになってきている。 クラブのカラーが全面に出ているスタジアム内部

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