Jリーグ欧州スタジアム視察2017
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Ⅳ-3.ミュンヘン① Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 44 さらにその入場者数がわれわれの常識の範囲を超えている。クラブHPによると、過去173試合のチケットはすべて完売、すなわち入場率100%、毎試合平均入場者数が約75,000人で、欧州5大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ)でトップであるということ。アリアンツ・アレナ建設に携わった関係者は「10万人収容可能な規模にしておけば良かった」と、悔やんでいるかもしれない。 このような欧州を代表するビッグクラブであるFCバイエルン・ミュンヘンのホームスタジアムがアリアンツ・アレナである。 (2)100年を超すクラブの歴史を残すこと の重要性 ~体験ワールドオープン~ それでは、あらゆる点でFCバイエルン・ミュンヘンはナンバーワンなのか、というと実はそうではなかった、という。今回視察したアリアンツ・アレナ内の「FC Bayern Erlebniswelt(体験ワールド)」で、冒頭に説明を受けたのは「クラブの歴史をきちんと残し、伝えることにおいては他のクラブよりもわれわれが遅れていた」ということである。そのため、他クラブのミュージアムを超えるものを作ろうということで、アリアンツ・アレナ内に体験ワールド(3,000㎡)が作られたらしい。 体験ワールドのオープンはこのアリアンツ・アレナでの2011/12シーズンUEFAチャンピオンズリーグ決勝(FCバイエルン・ミュンヘンがチェルシーのGKチェフの大活躍によりPK戦で敗退)の6日後であった。 体験ワールドは、1900年から始まったクラブの歴史を時代順に展示する形式としているが、メインとなるのは「やはり殿堂(Hall of Fame)であり、このクラブで戦った17人のフットボーラーのコーナーである(下写真)」ということであった。 本施設のオープン時期もそうであったように、FCバイエルン・ミュンヘンの歴史は、「栄光」ばかりではない。1998/99シーズンUEFAチャンピオンズリーグ決勝の「カンプ・ノウの悲劇(FCバイエルン・ミュンヘンは後半アディショナルタイムにデービッド・ベッカム率いるマンチェスター・ユナイテッドに2ゴールを奪われ逆転負け)」に代表されるような「挫折」がある。説明にもあったが「われわれクラブの歴史は『栄光』と『挫折』の歴史でもある」ということ。これらをきちんと残し、後世に伝えることはクラブにとってとても重要なことであるという。 体験ワールドの案内パネル 殿堂「Hall of Fame」

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