Ⅲ-1.トルナバ Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 27 ら拡充が困難であると判断し、当該スタンドの基本構造だけは解体せず、新スタジアムの西側バックスタンドという妥協策のために再利用された。また、周辺住民とは23時までに騒音源を止めるという約束で成り立っている。市街中心部ゆえにさまざまな制約がある中での建設であったことが伺えるが、UEFAのスタジアムカテゴリー4に指定されている。 工期が短く、建築費が安価な理由として、バックスタンドの構造を再利用していること、メインスタンドの背面はショッピングモールの躯体であること、人件費が安いこと、屋根が鉄骨構造・トタン製であること、主構造にプレキャスト工法が用いられていること、また従前のスタジアムの改築であるため芝生のヒーティングシステムなどの初期コストが発生しないことが考えられる。 建物は、地下1階地上5階建てで、一体化しているショッピングセンターと合わせて4.7haの敷地面積を有する。西側バックスタンドとゴール裏スタンドの両角は、オフィス棟(スパルタク・トルナバとCity Arena社)とホテル棟(ホテル・アレナ)が付帯している。また、スタンド下やショッピングモール内には、カジノ、映画館、フードコートなどが入っている。ショッピングモール(一部、北側ゴール裏スタンド地下1階)には2層にわたる収容台数950台の駐車場が完備されている。駐車場には、VIP専用の入口が設置されている。 出典:City Arena Trnava Fansite 出典:Air view 西側バックスタンドの背面にある住宅地 各フロアの設計図面(上からB1、1、2、3階)
元のページ ../index.html#27