Jリーグ欧州スタジアム視察2017
20/106

Ⅱ-1.ブダペスト① Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 20 グ、スポンサーシップ、ブランドパートナーシップ、コンテンツ制作、メディアライツ、選手管理、イベント管理など多岐にわたっている。具体的な実績としては50年以上前からスポーツ業界で活躍しており、現在では100以上の欧州サッカークラブ、2つのサッカー連盟とパートナーシップ契約を結んでいる。また、毎年10,000時間以上の番組を制作、販売、配給を行っている。 さらに、選手に対するマネジメント業務を25年以上行っており、現在では世界で活躍する250人以上のスポーツ選手をマネジメントしている。 なお、Lagardère Sportsはグルパマ・アレナの他に、ボルシア・ドルトムント(ジグナル・イドゥナ・パルク)、アイントラハト・フランクフルト(ヴァルト・シュタディオン)、バイエル・レバークーゼン(バイ・アレーナ)などが使用しているスタジアムの運営や、テニス、モータースポーツの施設運営も行っている。 グルパマ・アレナの収支は黒字とのことであるが、黒字の理由として広告や飲食などのスタジアムで生じる収益は基本的にLagardère Sportsに入る構造となっているとのことであり、その影響が大きいと考えられる。 3. 所感 (1)スタジアム運営会社 「Lagardère Sports」 グルパマ・アレナのスペックに関しては、5つの評価軸の観点からも必要最低限のものが揃っていると評価することができ、スタジアムそのもののレベルは高いといえるが、特筆すべきはどのようにスタジアムを運営していくのか、運営会社となっているLagardère Sportsのスタジアム運営能力が重要になっているように思われる。 その中で、スタジアム運営上、サッカーの試合以外でスタジアムの稼働率を高めるための工夫が必要である。 グルパマ・アレナのキャパシティは20,000人強のサイズでありながらすべての基本スペック(屋根、芝、客席シート、マラソンゲート、ビジネスラウンジ、スカイボックス等)は十分に備えられており、また民間のスタジアム運営会社がこれを活用することによりスタジアムの稼働率を高めることに寄与している。 日本においては、Lagardère Sportsのようにスタジアム運営そのものを担っている会社はまだ少なく、運営ノウハウが蓄積されていないことが課題であると認識した。日本にもスタジアム運営を専門とする会社の出現が急務であり、スタジアムのスペックを今後決めていくうえで重要な影響を及ぼしていくことになるだろう。 (2)国立スタジアム 「グルパマ・アレナ」 グルパマ・アレナは代表の国際試合も開催される国立スタジアムだが、民間会社が施設運営していること、国内リーグの1クラブのホームスタジアムにもなっていること、ネーミングライツがついていることが珍しいケースとなっており、従来までの固定概念が覆されたように思った。 その点において、ハンガリーサッカーの過去の栄光にはとらわれずに、このスタジアムからハンガリーサッカーが再び盛り上がり、新たな全盛期を取り戻そうとしているように感じざるを得ない。 ミュージアム内のスタジアム模型

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る