Ⅰ-1.ウィーン Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 14 3. 所感 クラブ創設時の1899年から100年以上同じ敷地にスタジアムがあることを誇りとし、新しいスタジアムとなってもクラブの歴史、アイデンティティをスタジアムの各所で感じられる設えとしていることに大変共感を覚えた。クラブが生活の一部となっていることを言葉のみでなく、実際に見て体感できたことは大きな収穫であった。 ビジネスエリアのあり方として、スタジアム内の瀟洒なラウンジが社交の場となり、サッカー観戦のみならず、その試合前、ハーフタイム、試合後をゆったり楽しむことができる非日常の空間として活用されている様子を目の当たりにすることができ、「稼げるスタジアム」を検討するにあたって大いに参考になった。もちろんサッカーの歴史の違い、サッカー文化の根ざし方の違いは大きいため、一朝一夕にアリアンツ・シュタディオンのような最先端のスタジアムを日本で成立させることができるとは思わないが、目指すべき方向性というものを実感できた。 試合がない日にいかにスタジアムの稼働率を上げるか、「稼げるスタジアム」を目指す上において解決しなければならない課題であるが、都心にあり、駅にも近いという好立地を生かし、数多くのイベントを開催する等、「まちなかスタジアム」における好事例として大変示唆に富む視察であった。 また、キャッシュレスサービスの導入といったスタジアムを訪れた人々がストレスを感じずに済むような配慮の面においても、顧客目線での運営・サービス水準の高さが伺われ、ハード面のみならず、ソフト面・ホスピタリティ面においても日本のスタジアムはまだまだ改善の余地があることも分かり、大変勉強になった。 今回のスタジアム視察を今後のスタジアム検討・計画に最大限に生かしていきたい。 充実したキャッシュレスサービス スタジアム内でクラブの歴史を感じることができる ハーフタイムのビジネスラウンジ ビジネスラウンジの入口
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