Ⅰ-1.ウィーン Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 13 る。契約金額は€1,000~1,500万(13億4,350万円~20億1,525万円)と推察される。資金計画の時点でアリアンツとのネーミングライツ契約が決まっており、それにより銀行からの融資を受けやすくなったことが、スタジアム建設プロジェクトがスムーズに進んだ大きな要因であった。なお、アリアンツは、アリアンツ・シュタディオンのほか、アリアンツ・リヴィエラ(ニース)、アリアンツ・スタジアム(シドニー)、アリアンツ・パルケ(サンパウロ)、アリアンツ・スタジアム(トリノ)、アリアンツ・パーク(ロンドン)、アリアンツ・アレナ(ミュンヘン)の計7つのスタジアムとネーミングライツ契約を行っている。 ④イベント利用 ピッチは原則として、サッカーの年間25試合以外は使用しない。コンサートなどは行っていないが、ホスピタリティエリアやビジネスエリアを使ってのセミナー、ワークショップ、パーティーなど年間250のイベントを行っている。このイベントがスタジアムの収入の大きな割合を占めている。サッカーの年間25試合のためというよりも、年間250のイベントを行うスペースとしてスタジアムを設計したとのことである。 ⑤営業チーム体制 営業の体制は、「役員1人、事業開発部長1人、会計担当4人、事務担当3人」で構成されており、主な仕事としては、スポンサーなどの「(ⅰ)ビジネス支援、(ⅱ)顧客サービス、(ⅲ)新規顧客の獲得、(ⅳ)対面サポート」である。スタッフはサッカー選手出身ではなく、それぞれのプロフェッショナルで構成している。 ⑥ケータリングサービス ケータリングサービスは、チェルシーでも配給しているCOMPASSグループのFOOD AFFAIRS社が行っている。主な業務は、試合開催時のケータリングサービスとアリアンツ・シュタディオンで行われるスポーツイベント以外の組成、平日のバー運営などである。売り上げの1/3はクラブに、2/3はFOOD AFFAIRS社に入る仕組みとなっている。 ⑦キャッシュレスサービス スタジアム内にある120のバーと17のキオスク(40種類の食べ物があり、ホットドッグが一番人気)で買い物を行う場合、待ち時間短縮のためRAPID MARI€というNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)を利用したカードシステムによりキャッシュレスで買い物を行う。カードへのチャージはインターネットやスタジアム内でも行うことが可能。このシステムにはスタジアム利用者の80%以上が満足している。今後はファンショップでの買い物にも利用できるようにしたり、カードにボーナスをつけたりすることなどを検討している。このキャッシュレスサービス導入のイニシャルコストは、€30万 (4,031万円)(機器+プログラム込み)である。 試合日以外も稼働するビジネスエリア 試合当日のケータリングサービス
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