Ⅰ-1.ウィーン Jリーグ欧州スタジアム視察2017 報告書 (2017年10月28日~11月5日) 12 ④資金調達方法 総事業費は€5,300万(62億2,432万円)、うち建設費は€4,750万(55億7,840万円)であった。無線LAN、デジタルサイネージ、スクリーン等の設置にさらに€1,500万(17億6,160万円)を費やした。資金調達としては€2,000万(23億4,880万円)がウィーン市からの助成金。€3,200万(37億5,808万円)が銀行からの借り入れ、€300万(3億5,232万円)がファンからのクラウドインベスティングであった。このクラウドインベスティングは5年、7年、9年の投資期間を選択でき、それぞれ2%、2.5%、3%と利率が異なる仕組みとなっている。また、クラブがUEFAチャンピオンズリーグに出るとプラス4%。ヨーロッパリーグに出るとプラス1%など、利率が上がり、クラブの成績によって配当が変わるなど、クラブとファンがリスクと利益を共用する仕組みは新しい試みである。なお、オーストリアでは銀行の普通預金はほとんど金利がつかない。また、ファンからの寄付は受けていない。それは、クラブとファンがフラットで公平な関係を望んでいたからである。(※€1= 117.44円) クラブは、ウィーン市に対してチケット代の10%の特別課税を納めている。これは第二次世界大戦以降スポーツのチケットに特別課税が課されることとなったためである。 (2)スタジアム運営について ①試合・チケット 一般席は対戦相手によっても変わるが、1試合平均で€35 (4,702円)、子どもは€5(672円)である。シーズンチケットはビジネスパッケージサービスを含んでおり、€2,273(305,378円)から€5,505(739,597円)で階層や部屋の大きさでカテゴリー分けされている。アリアンツやテレコム以外は小さな会社が契約していることが多く、前年からの更新がほとんどである。また、新しいファンを増やすために10%は新規の顧客向けに販売するようにしている。1試合あたりのビジネスシートのチケットは€180 (24,183円)から€400(53,740円)で、試合前後2時間のケータリングサービスなどのビジネスエリアの利用が可能となっている。 ②ビジネスパッケージサービス ビジネスパッケージサービスとしては、 (ⅰ)試合の前後2時間利用できるケータリングサービス (ⅱ)外部と内部に専用の座席 (ⅲ)VIP駐車場の利用 (ⅳ)革新的な招待ツール (ⅴ)マーケティングとコミュニケーションサービス (ⅵ)年2回の異業種交流会の開催 などがある。またスカイボックス席は試合のない日でも、会議室やセミナールームとしてビジネス利用が可能となっている。都心で駅から近いこともあり、平日でもビジネス利用が多く、稼働率が高くなっている。 ③ネーミングライツ スタジアムはドイツ最大の保険会社グループであるアリアンツと10年間のネーミングライツ契約をしていビジネスパッケージは7種類 ビジネス利用が可能なスカイボックス
元のページ ../index.html#12