2016 winter
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91どれだけ厳しく、激しい試合をみせられるか異なるのがACLです。しかし、このアジアの激しさ、厳しさに打ち勝たないと、Jリーグの価値をアジアや世界に示すことは、とうていできません。勝利へのヒントは明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ、JリーグYBCルヴァンカップ決勝に、はっきり示されていました。極限の緊張感の中で結果にこだわって戦い抜く、あの緊張感を、普段のリーグ戦の中にどれだけ持ち込めるかが重要です。全チームが厳しい姿勢で毎週のJリーグ、そして毎日の練習に臨むことで、初めてACLを勝ち切る力が身に付くのではないでしょうか。スペインのFCバルセロナとレアル・マドリードによる伝統の対決「クラシコ」も、国内リーグ戦の1試合ですが、技術や戦術の高さ以前に、その厳しさと激しさが際立っています。来シーズンからの1ステージ制によるJ1リーグの中で、どれだけ厳しく、激しい試合を見せることができるか。ファン・サポーターの感動、ACLでの勝利、選手の成長、SAMURAI BLUE(日本代表)の成功、全てのことがこの一点にかかっています。Jリーグが世界との差を埋めるために、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)を勝ち切ることに、もっとこだわりたいと思います。2007年の浦和レッズ、2008年のガンバ大阪の連覇から8シーズンも決勝の舞台に立っていません。2016シーズンはベスト8にも届きませんでした。J1クラブが、JリーグとACLを並行して戦うのは、難しいところがあります。なぜならJリーグでは上位と下位の力がきっ抗していて、どのチームにもJ2降格の可能性があります。そのことでリーグ戦を優先するような戦い方になっているのかもしれません。他方、韓国や中国では、ACL組とその他のチームのレベル差が大きく、オーストラリアには降格制度がありません。さらにリーグ戦よりACLの方が賞金や勝利ボーナスが高い、とも聞きます。彼らはACLに全てを懸けてきますし、ファン・サポーターの後押しも、年々大きくなっています。韓国の勝負強さ、中国の外国籍選手の質の高さは脅威です。中東勢は毎年のように、Jリーグで活躍した選手を引き抜いていきます。レフェリングも、ピッチも、相手の戦い方も、何もかもJリーグと原博実Jリーグ副理事長

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