87うジレンマを抱えています。ただ、クラブライセンス制度の導入から5年経ち、債務超過のクラブは無くなるなど、一定の成果は見えてきましたので、次のステージに進めるような制度の見直しも視野に入れています。 サッカーに関して全くの門外漢であった私にとって、理事就任からの半年間はサッカーを少しでも知るためにとにかく走り回った時期でした。そこで気付いたのは、これまでサッカーを専門に仕事されてきた方々の知識量、経験量には、当然ながら到底追い付けないということ。ただ、サッカー村の「中の人」として、できることには限界があっても、「中も知っている外の人」として開き直れば、できることは山ほどあることにも気が付きました。例えば、女性の職場環境や数多く催される様々なイベントにおける安全対策やファミリー層へのアプローチの仕方にはまだまだ改善の余地があります。できること、やるべきことは山積みですが、これを一つ一つ地道に片付けていくことこそがJリーグの歴史、スタイルをつくっていくことなのだと思っています。先日、ブラウブリッツ秋田のホームゲームを視察した際、「ババヘラ」と呼ばれるおもしろいお菓子を見つけました。秋田では夏の風物詩として知られており、おばさんがヘラで赤と黄のアイスを盛り付ける様子が名前の由来だそうなのですが、私が驚いたのは、試合会場で売られていたババヘラが、クラブカラーの青と白だったこと。こういう楽しみ方ができるもの、地域密着を理念に掲げるJリーグならではだと思いましたね。25年前のポリシーが、今も色あせずに存在しているということは本当に珍しいことだと思います。しかしその一方で、この25年間でクラブの生い立ち、成り立ち方が多様になったぶん、財政的な部分では画一的な対応が難しくなってきていることも事実です。投資をしたいクラブにはその後押しをして、サポートの必要なクラブには手を差し伸べる。このバランスにはまだまだ難しさを感じています。クラブライセンス制度についても、クラブの成長を妨げているという指摘があるのと同時に、それぞれのクラブの公共性が非常に高く、無理な運営はさせられないとい「中も知っている外の人」として木下由美子Jリーグ理事
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