2016 winter
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81政府が公表した日本再興戦略やスポーツ庁が取りまとめたスポーツ未来開拓会議では、スタジアムの在り方が問われている。スポーツを一つの産業として機能させるための一丁目一番地として、スタジアムの収益性の向上、すなわちコストセンターからプロフィットセンターへの変革が求められている。スタジアムの収益性の向上においては、サッカースタジアムを増やすことやデジタル技術を活用することで観戦者の顧客体験を向上させることが多く語られている。しかし、ホームゲームの開催日数が限られていることを考えると、その効用は限定的である。そこで、スタジアム稼働日数の増加に焦点を当てた、ホームゲームが開催されない場合のノンマッチデー収入ついて考えてみよう。一般的にホームゲームが開催されない日の稼働を上げるための施策として、スタジアムのラウンジを会議室やセミナーなどに活用するなど、関連施設の稼働向上が検討されるが、施設の稼働だけではなくピッチの稼働を高めていくことも検討の余地がある。現状、多くのスタジアムでは、芝の品質保持がボトルネックとなり、ピッチの稼働日数に上限が設けられているが、天然芝に少量の人工芝を混ぜたハイブリッドターフを活用することでピッチの稼働日数を高めることができる。ハイブリッドターフにすることは、コスト削減の効果もあるが、それ以上にピッチの稼動日数の上限を高めることが可能になる。従って、ピッチを活用したスポンサーアクティベーションやホームタウン活動を実施することができるようになる。ピッチをこれまで以上に稼動させることで新たな収益を獲得できるようになるばかりか介護予防や健康促進などの地域の課題解決に寄与することになる。それにより、クラブ価値を向上させ、ひいてはスポンサー価値を向上させることができるようになる。このように、施設の稼働だけではなく、ピッチの稼働も併せて検討することで、プロフィットセンターへのシフトチェンジが加速し、クラブ価値が向上していくことを期待したい。スタジアム活用によるクラブ価値の向上

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