80行政法人が国連の「責任投資原則」に署名したことで、今後ESG投資が加速していくと見られている。つまり、投資家は、財務情報だけ見て単純にもうけている会社に投資をするのではなく、これからは非財務的な要素であるE・S・Gに対する企業の取り組み状況についても厳しく評価して投資を決めることになるであろう。これは、JリーグやJクラブに投資しているスポンサー企業も例外ではない。スポンサー企業は、単にサッカーが好きだから、企業名を露出させたいからという理由だけでJリーグ、Jクラブに投資しているわけではない。高いスポンサーフィーを出しているのはJリーグの理念に共感しているからであり、Jリーグ、Jクラブが地域に根差して、地域のために活動していることに深く共鳴しているからである。その期待に応えるためにも、JリーグとJクラブはホームタウン活動を高いレベルで充実させる必要があり、スポンサーのCSRの一翼を担う気持ちで取り組むことが求められている。そのためにも、クラブのホームタウン活動担当者は、スポンサー企業のCSR担当者と積極的にコミュニケーションを取り、スポンサーの理念と同じ目線でホームタウン活動を語れる必要がある。もしホームタウン活動が企業のCSRとしてより認知され、CSRレポートの中で説明可能なものとなれば、スポンサーから見るクラブの価値は一層向上するものと考えられる。スポンサー、クラブ、地域が三方良しとなるモデルを構築し、クラブ価値の向上を目指すことが求められる。Jリーグは、ホームタウン活動をより高い次元に昇華させようとしている。活動の集計方法を見直し、単に訪問数、時間で成果を測るのではなく、その質を問い始めている。くしくも、同様の流れが企業レベルでも出てきている。日本企業は03年を境に積極的に社会的責任を重視したCSR経営に取り組むようになり、法令順守、社会貢献、環境対応をキーワードにさまざまな活動を行ってきた。しかしながら、総花的な活動に終始し、自らの活動を自画自賛する報告しかなされてこなかったことで、同じようにその質が問われている。特に、日本企業は法令順守や環境対応への取り組みは得意としているが、社会貢献に対する取り組みが弱いとされている。加えて近年では、環境問題(Environment)、社会問題(Social)、企業統治(Governance)といった非財務情報を考慮した「ESG投資」が世界で拡大しており、日本においても、年金積立金管理運用独立企業の社会的責任(CSR)を意識した、三方良しのホームタウン活動を
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