69総括関心度の向上を主な目的として導入した2ステージ+CS制。フットボールサイドとビジネスサイド、それぞれのデータを検証すると、大会方式の変更による影響は限定的だったと言わざるを得ない。2015シーズンのCSは高い視聴率をマークし、多くの関心を集めたものの、翌年のリーグ戦では入場者、視聴率に影響が見られず、CSで集まった関心をリーグ戦につなげることはできなかった。また、2ステージ+CS制の導入決定後に決まったACL決勝の日程変更により、日程面や強化面で想定外の課題も生まれることとなった。2017シーズンより大会方式を変更する理由2シーズン+CS制は、特にCSが大きな関心を集めることに成功し、一定の成果を上げた。改善に向けての課題も整理できつつあったが、Jリーグはクラブと議論をしながら、熟慮の上2017シーズンより大会方式を1ステージ制へ再変更することを決めた。この変更には2つの理由がある。一つに、DAZN(ダ・ゾーン)と締結した放映権契約により、経営の選択肢が拡大したことにある。10年間にわたる投資の決定を受け、Jリーグはさらなる価値向上のため、これまでも理想としてきた1ステージ制への回帰を行うこととした。もう一つは、日程面に新たな問題が生じてしまったこと。新大会方式の導入決定後に、ACL決勝の日程が11月の2度の週末に行われる方式に変更となった。これにより、このままの大会方式ではチームの活動終了時期のばらつきが大きくなってしまうという強化面の問題が生じ、日程面での調整が必要となった。Jリーグはこの2つの状況に鑑み、17年からの1ステージ制回帰を決定した。入場者数2ステージ+CS制に変更した2015シーズンと2016シーズンは、いずれも1ステージ制の2014シーズンに比べて総入場者数は増加している。しかし、その内容に目を向けてみると、スタジアムの拡張・新設による増加や、タイトルパートナーである明治安田生命保険相互会社の従業員とお客さまがスタジアムに足を運んでくれたことが大きな増加要因となっている。総入場者数からそれらの数字を除いた、2ステージ+CS制導入やその他の影響による入場者数の増加は、2015シーズンで約16万人、2016シーズンでは約7万人と試算される。ただし、通常のリーグ戦に限った入場者数を見ると2015シーズンでは約16万人の増加があったものの、2016シーズンは約3万8000人が減少していると推計される。2016シーズン・2015シーズン(2ステージ)/2014シーズン(1ステージ)(人)※1:J1~J3の総動員数(2015シーズン:13万人、2016シーズン:22万人)からJ1への総動員数を推計。※2:2015/2014においては、「大宮、C大阪、徳島、湘南、松本、山形」の総入場者数の増減を集計。2016 /2014においては、「清水、C大阪、徳島、湘南、磐田、福岡」の総入場者数の増減を集計。1.スタジアム拡張・新設による影響2.明治安田生命の従業員とお客様による試合観戦の影響(※1)3昇降格クラブ入れ替えによる影響(※2)4.雨・雪の試合が減少したことによる影響5.平日に開催される試合が増加・減少したことによる影響6.チャンピオンシップの3試合が増加したことによる影響7.リーグ戦における入場者数の増減(増加数から1-6の要素を除いたもの)+73,735+39,000▲38,427+29,283▲96,278+95,149+164,902+267,364+273,132+66,000▲97,293+16,517+2,250+107,120▲37,771+329,955総入場者数の増加2015 /20142016 /2014約7.2万人増約16.4万人増
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