68フットボールサイドビジネスサイド2ステージ+CS制の導入によってもたらされたメリットの一つは、より強度の高い試合を展開できるようになったことだ。本方式を導入した15年と16年の両シーズンで、リーグ戦とCS決勝のスタッツを比較すると、タックル数、ボールを奪ってからゴールまでの平均時間、総走行距離は、ともに上回っていることが分かる。サンプル数こそ少ないものの、普段のリーグ戦とは異なるヤマ場をつくることで、より魅力的なフットボールを展開することができた。2ステージ+CS制の導入により、チームの活動日程にも変化があった。シーズン終盤にリーグ戦や天皇杯全日本サッカー選手権大会のために活動したチーム数を比較すると、2ステージ+CS制導入以降、シーズンを早く終えるチームが増加していることが分かる。これは、CS導入により通常のリーグ戦が前倒しの開催になったことと、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝の日程が変更になったことで、通常のリーグ戦の終了が早まったことによる。ACL決勝の日程変更に関しては、13年の2ステージ+CS制導入決定後にアジアサッカー連盟(AFC)が決定したもので、各チームの活動終了時期の差がJリーグの想定以上となってしまった。これにより、新シーズンに向けての準備期間においてクラブ間で差が生まれ、強化面への影響も避けられなくなった。視聴率11 年ぶりに地上波ゴールデンタイムに放送された15年のCS視聴率(関東エリア)は、第1戦が7.6%(TBS)、第2戦が10.4%(NHK総合)。翌16年は第1戦が7.3%(TBS)、第2戦が10.8%(NHK総合)と、両年ともに単純計算で合計約18%、延べ1,800万人以上がCSを観戦したことになる。一方、CSを除く通常のリーグ戦における視聴率は、2ステージ+CS制導入前の14年が3.0%、導入後の15年が2.3%、16年が2.6%となった。今後のリーグ戦の視聴率の底上げについてはより一層の取り組みの強化が必要である。関心度Jリーグによる1万人を対象にしたネットリサーチによると、「応援しているリーグのクラブチームがある」、「応援しているJリーグのクラブチームはないが、Jリーグは好きだ・Jリーグに興味がある」と答えた人の割合は、2ステージ+CS制導入前が33.1%(14年11月)、導入後が30.9%(15年11月)、30.8%(16年11月)と、大きな変化はなかった。大会方式に起因する日程・強化面の問題スタッツ比較CS決勝とリーグ戦の比較(直接対決)ゴール数シュート数空中戦タックル戦ドリブルからのシュート数ペナルティーエリア外からのゴール数ワンタッチパスの比率ボールを奪ってからのゴール数ボールを奪ってからゴールまでの平均時間(※)逆転勝ち試合数最初の15分のゴール数最後の15分のゴール数 ※アディショナルタイムを含む走行距離(km)スプリント距離 ※時速24km以上スプリント回数 ※時速24km以上※2015 広島 vs. G大阪の「リーグ戦2試合」と「CS2試合」のスタッツを比較※2016 浦和 vs. 鹿島の「リーグ戦2試合」と「CS2試合」のスタッツを比較※シーズン終盤にリーグ戦及び天皇杯のために活動したチーム数。※ACL決勝とCS導入の影響で、シーズンを早く終えるクラブが年々増加している。※2015年1月のアジアカップに備えて天皇杯決勝を2014年12月13日に開催した。352152725037.7%150.0001452.74710.183619リーグ戦201320142015201612/712/611/2211/311/911/111/2111/2612/2210/1212/2612/2412/2911/2612/2912/292014/1/112/13※2016/1/12017/1/112/512/3リーグ戦最終節ACL決勝第2戦CS決勝第2戦天皇杯準々決勝天皇杯準決勝天皇杯決勝749136744133.5%38.3105481.8849.308594CS550156977040.5%318.7101457.62812.227743リーグ戦4361921022046.9%115.0111465.39713.219792CS11月上旬2010011月中旬11月下旬12月上旬12月中旬12月下旬1月1日シーズン終盤の活動チーム数(J1)201320142015201620152016
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