672ステージ+CS制 導入の背景2016年10月、Jリーグは17年以降の大会方式を3年ぶりに「1ステージ制ホーム&アウェイ方式の総当たりリーグ戦」に戻すことを決定した。これにより、2015シーズンよりスタートした「2ステージ+チャンピオンシップ(CS)制」は、導入後わずか2シーズンで休止することとなった。本章では2ステージ+CS制が導入された経緯と狙い、そしてそこから何を学び、何を得たのかを明らかにしたい。2ステージ+CS制導入が決定された13年当時、Jリーグは「リーグへの関心度の低下」、「テレビ放送の減少」、「放映権料やスポンサー収入の頭打ち」、「入場者数の微減」といった数々の問題を抱えており、翌年には約10億円の減収が懸念される深刻な経営危機に陥っていた。そこで、世界的に見てリーグ戦本来の在り方は1ステージ制と認識しながらも、優勝争いのヤマ場を増やしメディア露出を増加させることで、新規ファンの開拓とスポンサーメリットを創出することを目的に「2ステージ+スーパーステージ(後にチャンピオンシップに統合)+チャンピオンシップ」という新たな大会方式の導入を決定した。 こうして「収入増」と「メディア露出増による関心度向上」を目的に導入された2ステージ+CS制であったが、前者の「収入増」については経営努力により当年の減収を回避。収入面での問題はいったん解決されたが、2015シーズンの開幕を前に、メディア露出増による関心度向上は引き続き課題とされたテーマとなった。2ステージ+CS制導入前後の比較と総括こうして、Jリーグへの関心度の向上と財政面の立て直しを目的に導入された2ステージ+CS制。財政面の問題に関しては、開幕前にいったん解決を見たものの、その後の2シーズンにおいて、当初の狙いどおりの成果は上げられたのだろうか。試合スタッツの比較、チームの活動数といったフットボールサイドのデータと、入場者数、視聴率などのビジネスサイドのデータを比較する。
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