2016 winter
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Jリーグの考える魅力的なフットボールとはJリーグは2012年より、簡単に倒れる、リスタートが遅い、選手交代にかかる時間が長い、異議・遅延行為が多いといった試合の魅力を削ぐ行為を減らしていくことを約束事とし、アクチュアルプレーイングタイムの増加を図ってきた。2015年には、試合中に選手を追尾し、プレーのあらゆるデータを取得するトラッキングシステムを導入。それまで取得の難しかった総走行距離やスプリント回数といったデータを測定できるようになったことで、ピッチ上の動きを数値によって比較・分析することが可能になった。こうして取得した数値データは「魅力的なフットボール」に直結する数字ではないが、Jリーグが目指す競技水準の向上という目的において、プロが行う興行として一定のレベル、クオリティーを担保するために機能しており、この先も変わらず注視していく。一方で、試合の質をより高めるための「引き上げ」については、リーグ内でも多くの議論がなされており、いまだに結論が出ていないのが現状だ。Jリーグが目指すべきサッカーはどのようなスタイルなのか。それを実現するためには何が必要なのか。それを数字によって明らかにすることは難しく、現状では主観的な視点を通してJリーグの現在地を見極め、世界とのギャップを意識するのが限界だ。本章では、Jリーグと欧州の試合を数値データで比較し、Jリーグがより魅力のある試合を創造するために必要な試合の質の「引き上げ」には何が必要かを、考察する。43

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